走るということが教えてくれたこと。
*4年前の箱根観戦。服部選手と村山選手。
95回の箱根駅伝が先日終わった。
贔屓の東海大の優勝という最高の結末。
これは書かずには入れらない。
ということで、走ることについて語ってみる。
僕は”走る”ことが好きだ。
2008年箱根駅伝の虜になって以来、
数々の大会を観戦し、魅了されてきた。
体力テストでDが付くほどの運動音痴だが、
フルマラソンに出る程度には走りにハマった。
そんなこともあり陸上部でもない僕だけど、
「ただ走るの見てて何が楽しいの?」
「ランニングって疲れるだけでしょMなの?」
みたいな話をもらうようになった。
「疲れた後に飲むビール最高でしょ、同じよ」
そんな薄っぺらい回答で済ませていたが、
短時間では語り尽くせない魅力があると思っている。
そんな2019年の箱根駅伝が教えてくれたこと。
今諦める勇気
について語る。
*完全に個人の見解であります。
箱根ファンの方を不快にさせたらすみません。
1.今諦める勇気
2区ー湯澤くんvs梶谷くん
梶谷くん58:44(青山学院大学)
湯澤くん59:06(東海大学)
前哨戦である全日本大学駅伝アンカー8区
梶谷くんは優勝のゴールテープを切った。
梶谷くんは3度目の箱根駅伝。
湯澤くんは4年生にして初の箱根駅伝。
2人は箱根のエース区間2区で再戦。
力のある東洋大を追う状況でスタート。
*スタート図
東洋大(先頭)ー6秒ー梶谷くんー2秒ー湯澤くん
梶谷くん68:30(青学大)
湯澤くん68:04(東海大)
今度は湯澤君がリベンジを果たしたのだ。
何が起こったのか。
梶谷くんは焦っていた。
「6秒先の東洋大を追わなくては」
最初の5kmで突っ込むが追い付かない。
2秒後ろでスタートした湯澤くんの風よけに。
「利用されたくないがペースも落とせない」
精神的に消耗した梶谷くんは後半失速。
一方、東海大は2区がこれまで鬼門だった。
2017青学67:56東海69:33(-97)
2018青学67:15東海68:55(-100)
ここ2年は青学に100秒後塵を拝していた。
湯澤くんも力はあれど、4年生で初の箱根。
「力は劣っている。持てる力を100%出す」
焦らず梶谷くんをペースメーカーに利用。
監督者の声が聞こえないほどにレースに集中。
ラスト3kmでスパートし後続を引き離した。
持っている力以上は出せない。
自分の力を知り、今を諦める。
持てる力を100%出すことに集中する。
湯澤くんの強さが上回った。
4区ー岩見くんが嵌った悪循環
4区64:32区間15位。
青学の区間12位以下は実に5年ぶりだ。
しかも岩見くんはハーフで結果を残し、
原監督が満を持して起用した選手だ。
なぜこうなったのか。
という格上のランナーが後ろから追ってきた。
2㎞地点、並走中の相澤くんがペースアップ
少し付いていこうとしてみる。
明らかに、早すぎる。無理だ。
残りはまだ19km、推測でしかないが。
「これから何秒差を開けられるのだろう」
「もしかして調子悪いのかな」
「いや気にせずに自分のペースを刻もう」
岩見くんは初駅伝。1位を相澤くんに明け渡し、
「憧れの箱根を楽しく走る」
という感情が消え試練の19kmが待ち受ける。
結局この区間で3分36秒離された。
2者に3分36秒の力の差があったとは思えない。
・自分の走りに優勝がかかっている
・初の箱根でこの先何があるか分からない
・前を走る選手が明らかに自分より強い
誰しもこの状況では同じ心情になりうると思う。
勝ちたい!と思えば思うほど過酷な状況だ。
高すぎる目標設定(自分の理想の走り)が
100%のパフォーマンス発揮を阻害する。
原監督「4区を軽視していた」 の言葉の通り。
岩見くんの区間配置が異なれば、
今頃はヒーローになっていたかもしれない。
0区ー東海大の勝因
<区間順位>
東海大 6- 8-7- 2- 2-2-2-1-2-3
青学大 3-10-1-15-13-1-1-2-1-2
は青学が4つに対して、東海大は1つ。
でも3分以上の差を付けて東海大が勝った。
勝因は区間順位が表しているが、
東海大が全員100%の力を出したことに尽きる。
7区
小笹くん(東洋) 最初1km 2:41 記録63:45
阪口くん(東海) 最初1km 2:44 記録62:41
皮肉にも先頭を走っている小笹が早く入り、
結果阪口くんが好記録を出した。
飛ばさず、力を100%出し切り次につなぐ。
2019年度の東海大はこれが徹底されていた。
首位奪回も区間賞も8区で初めて。
それでも優勝できたのである。
大迫傑(マラソン日本記録保持者)「速さは記録だけなのかというと、そうではないと思っている。記録という部分は気象条件、ペースメーカー、他の選手の動きなど自分以外の要素、コントロールできないところが影響することが多い。それを考えても労力の無駄遣いだと思っているので、それよりは自分が強くあることに集中したい」
その通りだと思った。
外部要因に左右されず、強くあることに集中。
今できないことは諦めて、できることをやる。
今年も箱根駅伝から学ばせてもらった。
2.確率を上げる運ゲー
8区ーラッキーボーイ小松くん
①東海大の首位奪回
②区間新記録
③東海大の総合優勝
によって小松くんは大会MVPに選ばれた。
初駅伝の小松くんは一夜にして有名人に。
人生も変わったはずだ。
そう、幸運にも。
・4秒差の2位でタスキをもらう
・向かい風の少ない絶好のコンディション
・前に東洋大の選手がいて風よけになった
・東洋大の選手がいいペースで走っていた
・東海大学が総合優勝した
これらが1つでも欠けていたら、
恐らく小松くんのMVPはなかっただろう。
小松くん以外にも3強(東海青学東洋)には、
同様のポテンシャルを持つ選手は複数いる。
ただ、今回脚光を浴びたのは小松くんだった。
先ほどの文脈で言えば、
今持てる力を全て発揮する。
その結果が好転するかは運次第。
ただ、その運は上げることはできる。
ということだ。
実は小松くんの8区起用が決まったのは4日前。
別の主力選手の怪我によって巡ってきたのだ。
エリート揃いの東海大にあって、
1度も駅伝に出れず過ごした3年間。
いつか箱根を走る日を夢見て、
コツコツ準備を重ねチャンスが回ってきた。
持っている力以上のものは出ない。
時に、いや、運の要素は非常に大きい。
それでも100%を尽くし続けることで、
いつかはチャンスが巡って開花する。
無名だった乃木坂推しが教えてくれた。
10区ー2位の鈴木くん笑顔でゴール
5連覇を逃した青学のゴールは爽やかだった。
勝負は時の運。上手くいかないこともある。
ただ、現状持てる力は出し切った。
だから、笑顔でゴールしよう。胸を張ろう。
足りなかった分は、また次頑張ればいい。
戦犯探しが絶えない日本においてこの姿勢。
素晴らしいと思った。
ああすればよかった。
こうすればよかった。
なぜああしなかったのか。
色々と敗因はあるかもしれない。
ただ終わってみて分かったこともあったはず。
論理で過去の敗因を探っても、
必ず予測不能の未来はやってくる。
今回は運が微笑まなかった。
次回は確率を上げるべく頑張ろう。
僕たちはそれしかできないのだ。
それに集中するだけでよいのだ。
失敗に悲観する必要はないのだ。
順位では敗者の青山学院がそう教えてくれた。
だがしかし、
全力を尽くした青山学院は決して敗者でない。
0区ー運こそが最大のエンターテイメント
運で決まるって冷たくね?
ううん???
そんなことないぞ。
ソシャゲのガチャが100%当たったら?
野球でイレギュラーや風がなかったら?
努力すれば100%成功と分かっていたら?
100%告白が成功すると分かっていたら?
少し想像してみて欲しい。
人は不確実な時にドーパミンが放出される。
人が運を好むのは変えることのできない運命だ。
だからゲームやギャンブルが流行るのだ。
運に対して、時に理不尽を感じるかもしれない。
ただ、その理不尽が力になった経験があるはず。
だから、運に逆らわず、ベストを尽くす。
その上で人生という運ゲーを楽しむ。
それだけだ。
成功しても調子に乗らない。
必ず運の要素が絡んでいるから。
失敗しても落ち込まない。
必ず運の要素が絡んでいるから。
運を上げる努力を怠ったことに対して、
後悔し、力に変え、また動けばいい。
↓↓↓↓↓おまけだよ↓↓↓↓↓
3.11区ー走る
感情がそんな走りに影響するの?
そんな疑問を持ったかもしれない。
結論、する。
心技体が一致しないと走れない。
箱根の後、15km走って、再認識した。
*箱根2区の定点、家から7kmほど。
ランニングは本当に奥が深い。
心
「ああきついかも」
そう思った瞬間に本当にきつくなる
「あと1キロでゴールだやっと解放される」
そう思った瞬間に気が抜けてきつくなる
「、、、、、」
気を抜くと気付けばペースが落ちている
「足痛いかもしれない」
10km走ったころには忘れて痛みは消えている
「あれ楽しくなってきた」
なぜか急に楽になることがある
「前のランナーのペースで走ろう」
1人で走るより圧倒的に楽になる
「きついきついきついきついきつい」
そう感じた後10km普通に走れたりする
ランニングとはそういうスポーツだ。
技
肩甲骨を意識してフルマラソン。
次の日は肩が筋肉痛になった
身体全体で無駄なく、足を残して走る。
解説者はフォームを見て好不調が分かる。
正直、僕は素人なので何も分からないが、
奥が深いということだけは間違いない。
体
・フルマラソンで脱水症状に。
・追い込み過ぎて肺気胸気味に。
たまにしか走らないのに張り切って走る僕が
やらかしてきた身体への代償である。
身体は正直だ。
元気が有り余ってる日は飛ばしたくなる。
120%の力を出そうとした次の日は疲労困憊。
怪我したり肺を痛めて結局逆効果。
記録のためには今できることをやるしかない。
淡々と距離を積み上げるしかない。
自分の体という己の資産の全てのレベルが、
タイムという結果に如実に反映される。
根性だけでも、量だけでも上手くいかない。
だから記録が出た時は面白い。
まさに走ることの醍醐味である。
*偉そうなこと言いましたが、走るのは11~3月の週1程度ですし、走るのを語るのはおこがましいくらい記録も遅く、知識もありませんのでご了承ください。